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個人塾経営の損益分岐点|生徒何人で黒字?年収モデルも解説

塾開業

「自分の理想の教育を実現したい」という熱い想いを胸に、個人塾の開業を考えているあなたへ。

しかし、その一方で「塾経営は本当に儲かるのか?」「失敗したらどうしよう…」といった現実的な不安も大きいのではないでしょうか。特に、経営の経験がない方にとって、事業として成り立つかどうかを判断するのは難しいものです。

この記事では、そんなあなたの不安を解消するため、塾経営の成功に不可欠な「損益分岐点」に焦点を当てて解説します。

  • 生徒が何人いれば黒字になるのか?
  • 具体的な経費はどれくらいかかるのか?
  • 個人塾経営者のリアルな年収は?

この記事を読めば、これらの疑問がすべて解決します。具体的なシミュレーションを通じて、あなたの事業計画の実現可能性を客観的に評価し、安定した塾経営への第一歩を踏み出しましょう。

塾経営の損益分岐点モデルケース

「結局、生徒が何人集まれば赤字を脱出できるの?」これが一番知りたいことですよね。 ここでは、開業形態別に損益分岐点となる生徒数の目安をシミュレーションしてみましょう。

※月謝は全国的な個別指導塾の相場を参考に、生徒1人あたり月額25,000円と仮定します。

自宅開業の場合の生徒数と売上

自宅の一部を教室として利用する場合、最大のメリットは家賃がかからないことです。これにより、損益分岐点は大幅に低くなります。

  • 月々の固定費(目安): 約15万円
    • (内訳:自分の役員報酬10万円、水道光熱費・通信費2万円、広告宣伝費3万円など)
  • 損益分岐点に必要な生徒数: 6人
    • (計算式:15万円 ÷ 25,000円/人 = 6人)
  • 損益分岐点売上高: 月15万円

自宅開業の場合、まずは生徒6人を集めることが黒字化の最初の目標となります。比較的少ない生徒数で事業を軌道に乗せやすいのが魅力です。

テナント開業の場合の生徒数と売上

駅前や住宅街にテナントを借りて開業する場合、家賃が固定費として上乗せされるため、損益分岐点は高くなります。

  • 月々の固定費(目安): 約35万円
    • (内訳:家賃10万円、自分の役員報酬20万円、水道光熱費・通信費2万円、広告宣伝費3万円など)
  • 損益分岐点に必要な生徒数: 14人
    • (計算式:35万円 ÷ 25,000円/人 = 14人)
  • 損益分岐点売上高: 月35万円

テナントを借りる場合は、最低でも生徒14人を確保する必要があると分かります。その分、立地や教室の広さを活かして多くの生徒を集められる可能性があります。

生徒10人・30人・50人の壁

塾経営には、事業規模が拡大するにつれて乗り越えるべき「壁」が存在します。

  • 生徒10人の壁
    • 個人塾が開業後、最初に目指すマイルストーンです。この段階で黒字化が見え始め、経営が安定軌道に乗り始めます。講師は自分一人の場合がほとんどでしょう。
  • 生徒30人の壁
    • 自分一人で全生徒を丁寧に見るのが難しくなってくる人数です。質の高い指導を維持するため、時間講師の採用を検討し始める時期です。人件費が増えるため、収益構造を見直す必要が出てきます。
  • 生徒50人の壁
    • 個人塾としては大きな成功と言える規模です。専任講師の雇用や教室の拡張(2教室目)も視野に入ります。経営者としてのマネジメント能力が本格的に問われる段階です。

損益分岐点の計算方法とシミュレーター

モデルケースでイメージを掴んだところで、次はあなたの事業計画に合わせた損益分岐点の計算方法を学びましょう。計算式は意外とシンプルなので、ぜひ覚えて活用してください。

損益分岐点売上高の計算式

損益分岐点売上高とは、利益がゼロになる売上高のことです。これを上回れば黒字、下回れば赤字となります。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 – 変動費 ÷ 売上高)

少し複雑に見えますが、「限界利益率(1 – 変動費率)」で固定費を割っているだけです。まずは、売上に対してどれくらいの費用がかかっているかを把握することが重要です。

損益分岐点生徒数の計算式

個人塾の経営では、売上高よりも「あと何人生徒を集めれば良いか」が分かる生徒数で計算する方が直感的で分かりやすいでしょう。

損益分岐点生徒数 = 固定費 ÷ (生徒1人あたりの月謝 – 生徒1人あたりの変動費)

例えば、固定費が月35万円、月謝が25,000円、生徒1人あたりの変動費(教材費など)が5,000円の場合、 35万円 ÷ (25,000円 – 5,000円) = 17.5人 となり、18人目から黒字になると計算できます。

固定費と変動費の具体的な分け方

損益分岐点を正しく計算するには、経費を「固定費」と「変動費」に分ける必要があります。

  • 固定費とは 生徒数(売上)の増減に関わらず、毎月一定にかかる費用のことです。

    • 家賃
    • 人件費(正社員給与、自分の役員報酬)
    • 減価償却費
    • リース料(コピー機など)
    • 水道光熱費・通信費の基本料金部分
  • 変動費とは 生徒数(売上)の増減に比例して変動する費用のことです。

    • 教材費、プリント印刷費
    • 時間講師の給与(コマ給など)
    • 広告宣伝費(成果報酬型など)
    • 水道光熱費・通信費の従量課金部分

どの費用がどちらに分類されるかを正しく理解することが、正確な経営判断の第一歩です。

塾経営にかかる経費の内訳と目安

実際に塾を開業し、運営していくにはどのような経費がかかるのでしょうか。ここでは「開業資金」と「月々の運営費」に分けて、具体的な項目と目安を見ていきましょう。

開業資金(初期費用)の項目リスト

開業時に一度だけかかる大きな費用です。自己資金で足りない場合は、融資の検討も必要になります。

物件取得費・保証金

テナントを借りる場合、最も大きな割合を占める費用です。一般的に家賃の6ヶ月~10ヶ月分が目安となります。 (例:家賃10万円なら60万円~100万円)

内装工事費・設備費

学習に集中できる環境を作るための費用です。居抜き物件(前のテナントの設備を流用できる物件)を選べば、この費用を大幅に削減できます。 (目安:50万円~200万円

備品購入費(机・椅子・PC)

生徒用の机や椅子、指導用のホワイトボード、事務作業用のPCやプリンターなどが必要です。 (目安:30万円~80万円

初期の広告宣伝費

開校当初は塾の存在を知ってもらう必要があります。チラシの作成・ポスティング、Webサイトの制作、看板の設置などに費用がかかります。 (目安:20万円~50万円

月々の運営費(固定費・変動費)

毎月継続的に発生する費用です。ここをいかにコントロールするかが、利益率向上のカギとなります。

家賃・地代

テナント開業の場合、固定費の中で最も大きな割合を占めます。立地と費用のバランスを慎重に検討しましょう。 (目安:5万円~20万円 ※地域による)

人件費(自分の役員報酬・講師給与)

自分の生活費となる役員報酬も、経費として計上します。アルバイト講師を雇う場合は、その給与も必要です。売上計画と連動させて慎重に設定しましょう

水道光熱費・通信費

電気、水道、ガス、インターネット回線などの費用です。生徒数が増えれば電気代なども増えるため、一部は変動費の性質も持ちます。 (目安:2万円~5万円

教材費・印刷費

生徒数に比例して増える代表的な変動費です。市販の教材を使うか、オリジナルプリントを作成するかでコストは変わります。 (目安:生徒1人あたり月2,000円~5,000円

個人塾経営のリアルな年収シミュレーション

「個人塾を開業したら、年収はいくらくらいになるの?」という疑問に、生徒数別の収支モデルでお答えします。ここでは、テナント開業(月々の固定費35万円、変動費率20%)を例にシミュレーションしてみましょう。

目標年収から必要な生徒数を逆算する方法

シミュレーションを見る前に、自分の目標から必要な売上を考える方法を知っておきましょう。

必要な年間売上 = (目標年収 + 年間固定費) ÷ (1 – 変動費率)

例えば、目標年収を500万円、年間固定費を420万円(35万円×12ヶ月)、変動費率を**20%**とすると、 (500万円 + 420万円) ÷ (1 – 0.2) = 1,150万円 となり、年間で1,150万円の売上が必要だと分かります。

生徒数15人の売上・利益・年収モデル

損益分岐点を少し超えた、経営が軌道に乗り始めた段階です。

  • 月間売上: 37.5万円(2.5万円 × 15人)
  • 月間経費: 42.5万円
    • ・固定費: 35万円
    • ・変動費: 7.5万円(37.5万円 × 20%)
  • 月間利益: -5万円(赤字)
  • 想定年収: この時点では、役員報酬を十分に確保できず、年収200万円程度になる可能性があります。まずは固定費の見直しや生徒募集の強化が必要です。

生徒数30人の売上・利益・年収モデル

自分一人での運営から、アルバイト講師の採用も視野に入る段階です。

  • 月間売上: 75万円(2.5万円 × 30人)
  • 月間経費: 50万円
    • ・固定費: 35万円
    • ・変動費: 15万円(75万円 × 20%)
  • 月間利益: 25万円
  • 想定年収: 利益の中から役員報酬を設定します。この利益水準であれば、年収400万円~500万円を目指すことが現実的になります。

生徒数50人の売上・利益・年収モデル

個人塾として大成功のレベルです。経営者としての手腕が問われます。

  • 月間売上: 125万円(2.5万円 × 50人)
  • 月間経費: 60万円
    • ・固定費: 35万円
    • ・変動費: 25万円(125万円 × 20%)
  • 月間利益: 65万円
  • 想定年収: 安定した利益が出ており、講師への還元や設備投資も可能です。経営者の年収は700万円~1,000万円以上を狙えるフェーズです。

塾経営が「儲からない」と言われる4つの理由

「塾経営は儲からない」という声を耳にすることがあります。それはなぜでしょうか?事前に課題を理解し、対策を練ることが成功への近道です。

少子化による生徒獲得競争の激化

日本の少子化は、塾業界にとって最も大きな逆風です。子どもの数が減る中で、生徒という「顧客」の奪い合いは年々激しくなっています。

大手塾との差別化の難しさ

資金力やブランド力のある大手塾は、大規模な広告や質の高い教材、豊富なデータを持っています。個人塾が同じ土俵で戦うのは得策ではありません。独自の強みで差別化する必要があります。

低い利益率と労働集約型のビジネスモデル

塾経営は、講師が時間をかけて指導することで価値を生む「労働集約型」のビジネスです。そのため、売上を急激に伸ばすのが難しく、利益率も高くなりにくい傾向があります。

集客にかかる広告宣伝費の高騰

Web広告やポスティングなど、生徒を集めるためのコストは上昇傾向にあります。効果的な集客手法を見つけられないと、広告費が利益を圧迫する原因になります。

損益分岐点を下げ利益率を高める経営のコツ

「儲からない理由」を乗り越え、安定した収益を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか。損益分岐点を下げ、利益率を高めるための具体的な経営のコツをご紹介します。

  • 固定費を抑える(自宅開業・居抜き物件) 経営安定の基本は、固定費をいかに低く抑えるかにかかっています。可能であれば自宅で開業する、テナントを借りる場合も内装工事が不要な「居抜き物件」を探すなど、初期投資と月々の家賃を削減する工夫が重要です。
  • 客単価を上げる(高付加価値コースの設定) ただ安いだけでは大手との価格競争に巻き込まれます。「プログラミング×英語」「探究学習コース」「難関校専門コース」など、専門性の高いコースを設定し、客単価を上げる努力をしましょう。質の高いサービスを提供できれば、高くても生徒は集まります。
  • オンライン指導を導入し商圏を拡大する 教室に通える範囲の生徒だけでなく、オンライン指導を導入することで、全国の生徒を対象にできます。物理的な制約がなくなるため、売上アップの大きなチャンスになります。
  • 季節講習や特別講座で売上を上乗せする 夏期講習や冬期講習、定期テスト対策講座などは、通常の月謝に加えて売上を大きく伸ばす機会です。年間スケジュールを立て、計画的に追加売上を確保しましょう

まとめ

今回は、個人塾経営の成功に欠かせない「損益分岐点」について、計算方法から具体的なシミュレーション、利益を出すための経営のコツまで詳しく解説しました。

  • 損益分岐点とは、利益がゼロになる売上(または生徒数)のこと
  • 計算には、経費を「固定費」と「変動費」に分けることが不可欠
  • 自宅開業かテナント開業かで、損益分岐点は大きく変わる
  • 「儲からない」理由を理解し、固定費削減や客単価アップで対策することが重要

塾経営は、決して「楽に儲かる」ビジネスではありません。しかし、今回ご紹介した損益分岐点の考え方を身につけ、しっかりとした事業計画を立てることで、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。

あなたの教育への情熱を、安定した事業として継続させていくために。まずは紙とペンを用意して、ご自身の状況に合わせた損益分岐点の計算から始めてみてはいかがでしょうか。それが、成功する塾経営者への確かな第一歩となるはずです。

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