「得意な勉強を活かしてアルバイトがしたい」「どうせ働くなら、やりがいのある仕事がいいな」と考えている高校生にとって、塾のアルバイトは魅力的な選択肢の一つです。
しかし、求人情報を見ると「大学生以上」という条件が多く、「高校生でも塾でバイトってできるの?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな疑問や不安を解消するために、高校生が塾でアルバイトはできるのか、具体的な仕事内容や時給、採用されるためのコツまで、専門家の視点から徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたが塾バイトに挑戦すべきかどうかが明確になり、自信を持って第一歩を踏み出せるようになります。
結論:高校生の塾バイトはできる

結論から言うと、高校生でも塾でアルバイトをすることは可能です。憧れの塾講師として働くことも、事務スタッフとしてサポート業務をすることもできます。
ただし、誰でも、どんな塾でも働けるわけではありません。まずは、法律上のルールや、なぜ「大学生以上」の求人が多いのかといった背景を理解しておきましょう。
講師も事務も可能!法律上のルール
まず知っておきたいのは、法律上、高校生が塾で働くことに何の問題もないということです。
労働基準法では、原則として満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでは働くことができませんが、それ以降であればアルバイトが可能です。つまり、高校生になれば塾で働く資格があります。
ただし、18歳未満の年少者には、以下のような法律上の保護があります。
- ・原則として午後10時から午前5時までの深夜労働は禁止されています。
- ・時間外労働や休日労働にも制限があります。
多くの塾は夜10時前には授業が終わるため、高校生でも法律の範囲内で十分に働くことが可能です。
(参考:e-Gov法令検索 労働基準法)
「大学生以上」の求人が多い理由
「高校生でも働けるのになぜ大学生歓迎の求人が多いの?」と疑問に思いますよね。これには、塾側のいくつかの事情が関係しています。
- ・指導経験への期待 大学受験を乗り越えた経験を持つ大学生に、より専門的な指導を任せたいと考える塾があります。
- ・長期勤務への期待 高校3年生の場合、卒業までの期間が短いため、長期的に働ける大学生を優先したいと考えることがあります。
- ・シフトの柔軟性 大学の時間割の方が、高校よりもシフトの調整がしやすい場合があるためです。
しかし、これはあくまで塾の方針の一つです。高校生ならではの強みを評価し、積極的に採用している塾もたくさんあるので、諦める必要は全くありません。
高3は採用されやすい?学年の条件
高校生の中でも、特に高校3年生は採用されやすい傾向にあります。
その理由は、大学受験を終えたばかりで、最新の受験知識や経験を持っているからです。特に、推薦入試などで早めに進路が決まった高校3年生は、卒業までの期間を有効活用できる貴重な人材と見なされます。
もちろん、高校1年生や2年生でも採用のチャンスは十分にあります。大切なのは、学年に関わらず「働きたい」という熱意と、生徒のために頑張れるという誠実な姿勢です。
『頭が良くないと採用されないのでは?』と不安な方は、塾講師バイトは頭悪いとできない?必要な学歴を解説 や 塾講師バイトに学歴は必要? も参考にしてください。
高校生ができる塾バイトの仕事内容

「塾のバイト」と一言で言っても、その仕事内容はさまざまです。高校生が担当できる主な仕事は、以下の4つに分けられます。自分に合った仕事はどれか、イメージしながら読んでみてください。
個別指導講師:小中学生の指導が中心
個別指導講師とは、生徒1人~3人程度の少人数を相手に、一人ひとりのペースに合わせて勉強を教える仕事です。
高校生が担当する場合、指導対象は小学生や中学生が中心となります。自分の得意科目を活かして、生徒の「わからない」を「わかった!」に変える瞬間に立ち会える、非常にやりがいのある仕事です。集団指導と比べて生徒との距離が近く、じっくり向き合いたい人におすすめです。
チューター:質問対応や学習サポート
チューターとは、主に自習室などに常駐し、生徒からの質問に答えたり、学習計画の相談に乗ったりする仕事です。
講師のように授業を持つわけではないため、「いきなり授業をするのは不安…」という人でも始めやすいのが特徴です。生徒の自学自習をサポートする「頼れる先輩」のような存在で、コミュニケーションを取りながら働くのが好きな人に向いています。
小学生を指導する場合の工夫については、小学生を教えるコツ や 教え方が下手だとどうなる?改善のコツ もチェックしておくと安心です。
事務・受付:電話応対や簡単なPC作業
塾の運営を裏方で支えるのが事務・受付スタッフです。
主な仕事は、来客対応や電話応対、簡単なデータ入力、教材の準備、教室の清掃など多岐にわたります。直接勉強を教えることはありませんが、生徒や保護者と接する機会も多く、塾の「顔」となる重要な役割です。丁寧な言葉遣いや基本的なPCスキルが身につくのも魅力です。
採点スタッフ:テストや宿題の丸付け
採点スタッフは、生徒が提出したテストや宿題、小テストなどを採点する仕事です。
決められたマニュアルや解答に沿って黙々と作業を進めることが多く、集中して一つの作業に取り組むのが得意な人にぴったりです。在宅でできる場合もあり、自分のペースで働きたい人にもおすすめです。
塾バイトの時給相場と応募資格

塾バイトを始めるにあたって、やはり気になるのは時給と応募条件ですよね。ここでは、どれくらいの給料がもらえるのか、どんなスキルが求められるのかを具体的に見ていきましょう。
職種別・地域別の高校生時給相場
塾バイトは、他のアルバイトに比べて時給が高い傾向にあります。高校生の場合でも、地域や仕事内容によっては高時給が期待できます。
※上記の時給はあくまで目安です。東京都内などの都市部ではより高く、地方では少し低くなる傾向があります。
応募資格:求められる学力レベルの目安
「塾講師になるには、すごく頭が良くないとダメ?」と心配するかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
求められる学力レベルは、「担当する科目の教科書内容を、人に説明できるレベルで理解していること」が基本です。難関校の受験対策を専門とする塾でなければ、学校の定期テストで平均点以上を取れていれば、十分に通用するケースがほとんどです。
むしろ、勉強でつまずいた経験がある人の方が、生徒の気持ちに寄り添った指導ができると評価されることもあります。
必要なスキルや適性
学力以外にも、塾バイトでは以下のようなスキルや適性が重視されます。
高校生が塾バイトをするメリット・デメリット

やりがいも時給も魅力的な塾バイトですが、もちろん大変な面もあります。応募する前にメリットとデメリットの両方をしっかり理解しておきましょう。
メリット:高時給と自身の学力向上
塾バイトの最大のメリットは、他のアルバイトに比べて時給が高いことです。短時間で効率よく稼ぎたい高校生には大きな魅力でしょう。
また、人に教えるためには自分自身が内容を深く理解している必要があります。生徒に説明する過程で、自分の知識が整理され、学力が向上するという嬉しい効果も期待できます。大学受験を控えている人にとっては、最高の受験対策にもなり得ます。
メリット:やりがいと人に教える経験
生徒の成績が上がったり、志望校に合格したりした時の喜びは、何物にも代えがたいものです。「ありがとう」と感謝される経験は、大きなやりがいと自信に繋がります。
また、人に何かを分かりやすく説明するスキル(プレゼンテーション能力)は、大学での発表や社会に出てからも必ず役立ちます。高校生のうちからこの経験を積めるのは、非常に貴重な財産となるでしょう。
デメリット:予習の負担と責任の重さ
塾講師の仕事は、授業時間だけではありません。生徒に分かりやすく教えるために、事前の予習や指導計画の作成が不可欠です。時給が発生しない「準備時間」が負担に感じることもあるかもしれません。
また、生徒の成績や進路を左右する可能性のある仕事のため、常に責任感が伴います。プレッシャーを感じやすい人にとっては、精神的な負担が大きいと感じる場面もあるでしょう。
デメリット:学業や部活との両立
塾バイトは、固定の曜日・時間にシフトが入ることが多いです。そのため、テスト期間や部活動の大会など、学業や他の活動との両立が課題になります。
多くの塾ではシフトの相談に乗ってくれますが、急な変更が難しい場合もあります。自分のスケジュールをしっかり管理し、無理のない範囲で働けるかどうかを慎重に考える必要があります。
採用までの流れと面接・試験対策

「塾バイトに挑戦してみたい!」と思ったら、次はいよいよ採用選考です。一般的な流れと、合格を勝ち取るための対策を解説します。
応募から採用までの4ステップ
塾バイトの採用は、主に以下の4つのステップで進みます。
- 応募
求人サイトや塾の公式サイトから応募します。Web応募が主流です。 - 書類選考
応募時に入力した情報をもとに、書類選考が行われる場合があります。 - 筆記試験・面接
指定された日時に塾へ行き、筆記試験と面接を受けます。同日に行われることが多いです。 - 採用 合格すれば、採用の連絡が来て、研修や勤務開始日の調整に進みます。
筆記試験の内容と合格ライン
筆記試験では、指導を希望する科目の基礎的な学力が問われます。
- ・出題範囲 中学生レベル~高校1年生レベルの基礎問題が中心です。
- ・合格ライン 明確な基準は塾によりますが、一般的には正答率8割程度が目安と言われています。
事前に中学・高校の教科書や問題集を見直しておくと、安心して臨めるでしょう。
面接でよく聞かれる質問と回答例
面接では、学力だけでなく人柄や熱意が見られます。ハキハキと、誠実に答えることを心がけましょう。
面接で好印象な服装・髪型
塾講師は生徒や保護者と接する仕事なので、何よりも清潔感が重要です。
- 【服装】
高校生の場合は制服が無難です。私服の場合は、襟付きのシャツにチノパンや落ち着いた色のスカートなど、シンプルで清潔感のある服装を心がけましょう。 - 【髪型・髪色】
長すぎる髪はまとめ、顔がはっきり見えるようにしましょう。髪色は、多くの塾で黒か暗い茶色が基本です。面接の時点では、派手な髪色は避けるのが賢明です。
面接準備に不安がある方は、よくある質問と対策、志望動機の例文集、服装マナー もチェックしておきましょう。
「高校生歓迎」の塾バイト求人の探し方

「よし、応募しよう!」と思っても、どうやって求人を探せばいいのでしょうか。高校生を歓迎している塾バイトを見つけるための、効率的な探し方を紹介します。
大手求人サイトでの検索方法
まずは、タウンワークやバイトル、マイナビバイトといった大手求人サイトを活用するのが王道です。
検索する際は、フリーワードに「塾」と入力し、「こだわり条件」で「高校生応援」「高校生歓迎」といった項目にチェックを入れるのがポイントです。これにより、高校生が応募可能な求人のみを効率的に絞り込めます。
高校生採用に積極的な個別指導塾
塾の形態の中でも、特に個別指導塾は高校生の採用に積極的な傾向があります。大学生だけでなく、年齢の近い高校生の先生を求める生徒や保護者も多いからです。
例えば、以下のような個別指導塾は、全国的に展開しており、高校生歓迎の求人が見つかりやすいことで知られています。
- ・東京個別指導学院(TKG)
- ・スクールIE
- ・個別教室のトライ
これらの塾名で直接検索してみるのも良い方法です。
地域の塾公式サイトや校舎の求人情報を確認
大手だけでなく、あなたの家の近くにある地域の塾も狙い目です。
塾の公式サイトに「採用情報」のページがないか確認してみましょう。また、塾の入り口や窓に「アルバイト募集」の貼り紙が出ていることもよくあります。通学路や近所を歩く際に、少し意識して見てみると、思わぬ募集に出会えるかもしれません。
高校生の塾バイトに関するQ&A

最後に、高校生が塾バイトを始めるにあたって抱きがちな、細かい疑問にお答えします。
テスト期間や部活の大会で休める?
(問)「テスト期間や部活の大会でお休みをいただくことはできますか?」
(答)はい、多くの塾で相談可能です。
塾側も、学生の本分が学業であることは理解しています。ただし、無断で休むのは絶対にNGです。シフトが決まる前や、分かった時点ですぐに教室長に相談することが重要です。信頼関係を築くためにも、早めの報告・連絡・相談を徹底しましょう。
服装や髪型・髪色のルールは厳しい?
(問)「服装や髪型・髪色のルールは厳しいですか?」
(答)これは塾の方針によって大きく異なります。
一般的には、生徒や保護者に不快感を与えない清潔感が最も重視されます。スーツ着用が義務付けられている塾は稀ですが、私服の場合もTシャツやジーンズは避け、オフィスカジュアルに近い服装が求められることが多いです。髪色も黒か自然な茶色を推奨する塾がほとんどです。面接の際に確認しておくと安心です。
シフトは週に何回から入れる?
(問)「シフトは週に何回くらいから入れますか?」
(答)学業との両立を考慮し、週1日・1コマ(90分程度)からOKという塾も少なくありません。
特に個別指導塾は、柔軟なシフトに対応してくれる傾向があります。無理なく続けられるペースで始められるので、初めてのアルバイトにもおすすめです。
親の同意書は必要?
(問)「働くのに親の同意書は必要ですか?」
(答)はい、18歳未満の場合、法律で保護者の同意を得ることが義務付けられています。
そのため、採用が決まった後に、塾から所定のフォーマットで同意書の提出を求められるのが一般的です。アルバイトを始める前に、必ず保護者の方に相談し、許可を得ておきましょう。
まとめ
今回は、高校生の塾バイトについて、仕事内容から探し方、採用対策まで詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
塾のアルバイトは、ただお金を稼ぐだけでなく、あなたの未来にとって大きなプラスとなる貴重な経験です。この記事を読んで「挑戦してみたい」と感じたら、ぜひ勇気を出して求人を探し、応募してみてください。あなたの熱意と強みを活かせる場所が、きっと見つかるはずです。
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