インターンシップの面接は、就職活動の第一歩ともいえる重要な機会です。しかし、「何を聞かれるの？」「どこまで準備が必要？」と不安を感じる学生も多いのではないでしょうか。この記事では、インターン面接の基本から、よくある質問例、失敗しがちなポイント、当日の対策まで、実践的に役立つ情報を網羅的に解説します。初めて面接に臨む方でも自信を持てるよう、ポイントを押さえていますので、ぜひ本番前にご確認ください。

インターンシップの面接とは？就職面接との違い

インターン面接は就職面接（本選考）と似て非なるもの。インターンが「学生を知ること」や「学生に会社を知ってもらうこと」を目的としているのに対し、本選考は実際に採用する人材を見極めることを念頭においています。選考での質問も、インターンは「自己紹介」「志望動機」などやや広く浅いですが、本選考では「キャリアプラン」「入社後のビジョン」など深く掘り下げる傾向があります。以下のような目的や評価ポイントのそもそもの違いを理解し、適切な準備と心構えを意識しましょう。

本選考との違い①｜企業は何を見ている？

そもそも、インターンシップの企業側の目的は「将来の採用候補者との接点づくり」「自社PR」「プロジェクトや業務のサポート」です。そのため、面接ではスキルよりも将来性や価値観の相性を重視しており、「この学生と一緒に働きたいか」「職場に合いそうか」といった人柄・目的意識・コミュニケーション力などに注目しています。明確な目標があるか、自分の言葉で話せるかが評価の分かれ道となる他、成果よりも「どう考えて行動したか」に焦点が当たるのが特徴です。

本選考との違い②｜どこまで準備すべき？

インターン面接は本選考と比べて、評価の基準や面接の深さが異なります。緊張感はあるものの、最終的な採用ではなく「今後に期待できるか」を見る場として捉えられているからです。準備においては、やりすぎて空回りするよりも、基本的な自己理解と企業理解をしっかり押さえることが重要になります。熱意と誠実さが伝わるレベルを目指せば、十分に好印象を残せるでしょう。

よく聞かれる質問と回答のコツ

インターン面接では、志望動機や自己PRといった定番の質問が多く出されます。これらは答え方に工夫を加えて、他の学生との差をつけましょう。

志望動機｜「なんとなく応募」から脱却するには？

志望動機は、企業への関心と自分自身の経験を結びつけて伝えることが大切です。「なんとなく応募した」と思われないためには、企業の理念や事業内容に対する共感ポイントを見つける必要があります。例えば「◯◯の社会課題に取り組む姿勢に惹かれた」といった具体的な理由を示し、その理由が自分の過去の経験や価値観とどのように関係しているかを説明すると、説得力のある回答になるでしょう。

自己PR｜スキルよりも人柄が重視される理由

自己PRでは、スキルの有無よりも「どのような姿勢で物事に取り組んだか」が問われます。企業は将来性や価値観の一致を見ているため、人柄が伝わるような構成を意識することが重要です。例えば「強み→具体例→学び」という順序で話すと、話にまとまりが生まれるでしょう。「人の話を丁寧に聞くことが得意」という強みを活かした経験を紹介する場合、そこから得た学びを伝えることで、相手に好印象を与えることができます。

ガクチカ（学生時代に頑張ったこと）｜成果よりもプロセスを

ガクチカでは、「どのように取り組んだか」というプロセスの部分が重視されます。単に成果を伝えるのではなく、「課題→工夫→結果→学び」の順で話すと、内容に深みが出るはずです。例えば、文化祭の実行委員を務めた経験をもとに、「予算が限られていた中で、手作り装飾を提案した」という工夫を具体的に語ると、主体性や柔軟な思考力をアピールできるため、どんな経験でも伝え方次第で魅力を引き出すことができるといえるでしょう。

企業・業界に関する質問｜最低限おさえておきたい調査ポイント

「当社の印象は？」「業界についてどう思いますか？」といった質問に答えるには、事前の情報収集が欠かせません。企業の公式サイトだけでなく、競合企業との違いや業界動向、IR情報なども確認しておくと、より深い理解が得られるでしょう。例えば「貴社は◯◯というビジョンを掲げており、△△という取り組みを通じて社会貢献されている点に魅力を感じました」などのように伝えると、表面的ではない“本気度”が伝わります。

逆質問｜何を聞けば好印象？避けたい質問とは？

「最後に質問はありますか？」は、自分をアピールできるチャンスです。好印象を与えるには、「仕事の進め方」や「社員同士のコミュニケーション」など、企業理解を深めたい意欲が伝わる質問が効果的でしょう。一方で、「福利厚生は？」「残業は多いですか？」など、調べればわかる内容や待遇に偏った質問は避けたほうが無難といえます。自分の視点と企業への関心を両立させることが評価につながるポイントです。

インターン面接でよくある失敗とその対策

どれだけ面接対策をしていても、思わぬ失敗で印象を下げてしまうことはあります。よくある失敗例を知ることで、事前に防ぐ準備をしておきましょう。

「とりあえず応募した感」が出てしまう

企業研究が浅かったり、動機をうまく言語化できなかったりすると、「目的がない」と判断されやすくなります。この印象を避けるには、自分の関心と企業の特徴を結びつけて話す工夫が必要です。例えば「貴社の◯◯という取り組みに感銘を受け、自分の△△という経験と重なると感じました」といったように関心の理由を具体的に伝えると、納得感のある志望動機に仕上がります。

答えが長くて要点がぼやける

話が長くなりすぎると、伝えたい内容がぼやけてしまいます。時間内に要点を伝えるためには、「結論→理由→具体例→まとめ」の順序を意識すると効果的です。例えば「協調性が強みです」と先に結論を述べ、その後に「サークル活動でリーダーとして…」と背景を添えると、話にまとまりが出ます。練習段階で1〜2分以内に話すことを目標にしておくと、本番でも焦らず対応できるでしょう。

オンライン面接での印象が薄い

オンライン面接では、対面よりも表情や反応が伝わりづらいため、印象が薄くなりがちです。その対策として、カメラ目線を意識したり、適度にうなずいたりすることで、リアルな対話感が生まれます。また、表情に変化をつけながら話すと、相手に安心感や親しみやすさを与えることもできるでしょう。画面越しでも自分の魅力がしっかり届くよう、身振りや声のトーンも工夫することが大切です。

面接当日までにやっておくべき準備

面接本番で実力を発揮するためには、事前準備が欠かせません。自己分析・企業調査・質問対策などを段階的に取り組むことで、安心して当日を迎えましょう。

事前に準備すべき3つのこと（自己分析・企業調査・質問対策）

面接に臨む前にやっておきたい準備は自己分析・企業調査・質問対策の3つです。まず自己分析では、過去の経験と自分の価値観を掛け合わせて言語化し、面接での一貫性を意識しましょう。次に企業調査では、公式サイトだけでなく口コミや社員の声も参考にして理解を深めます。そして質問対策では、定番の質問に自分の言葉で答えられるように練習することが重要です。これらを段階的に取り組むことで、自然な受け答えができるようになるでしょう。

模擬面接で話す練習をしておく

実際に声に出して練習することで、答えの曖昧さや言い回しのクセに気づくことができます。友人やキャリアセンターのスタッフに面接官役をお願いしたり、録画して自分の話し方を客観的に確認したりすると効果的です。練習時は、声の大きさや話すスピード、間の取り方に注意してみてください。想定外の質問にも対応できるよう、パターン練習を重ねることで、本番でも落ち着いて話すことができるでしょう。

オンライン面接の環境チェック

オンライン面接の場合、事前に環境を整えておくことが重要です。通信状況が安定しているか、音声がはっきり聞こえるかを必ず確認しておきましょう。背景が散らかっていたり暗すぎたりすると印象が下がるため、白や淡い色の背景を選ぶのがおすすめです。また、カメラの角度や照明、服装も本番を想定して調整しておくと安心できます。トラブルを未然に防ぐことで、内容に集中できる環境が整うでしょう。

実際の面接で好印象だった学生のエピソード

印象に残る学生の特徴は、伝え方に工夫があり、話の内容に一貫性と納得感があることです。ここでは、実際に当社の面接担当者が“面接官として高く評価したエピソードの事例”をご紹介します。

具体例①｜曖昧な志望動機を言語化した学生

ある学生は志望動機の回答が「なんとなく」といったニュアンスで、少し掘り下げが足りない印象を受けました。しかし、話を進めていくうちに、その学生は自分の中にある想いを丁寧に言語化し始めたのです。当社が掲げる「多様な価値観を尊重する」という理念に共感した理由が、高校時代に多国籍の留学生と協力して取り組んだプロジェクトの経験でした。特に印象的だったのは、その経験を単なる思い出話で終わらせず、自分の価値観と当社の方向性を結びつけていたことです。深掘りの質問にも、自分の言葉で落ち着いて答える姿勢から、誠実さと熱意が伝わってきました。自分の内側にある考えを言語化できる学生には、やはり心を動かされます。

具体例②｜アルバイト経験から自己PRにつなげた学生

飲食店でのアルバイト経験をもとに自己PRを展開した学生が印象に残っています。話の軸は「新人教育を任される中での工夫」でしたが、内容が非常に具体的でした。「マニュアル通りに教えるのではなく、新人の理解度を見ながら説明を変えていた」という話から、相手に寄り添う姿勢やチーム全体の働きやすさを考える視点が見えてきました。自己評価だけで終わらせず、「その結果、系列店の新人からも相談されることが増えた」という周囲の反応まで語っていた点にも説得力がありました。自己PRにありがちな「自分は頑張りました」だけでなく、「その結果どう見られたか」まで話せる学生は、実務を任せる場面でも信頼できると感じます。

具体例③｜逆質問で企業理解の深さを伝えた学生

面接の最後に「配属後の目標設定はどのように行われていますか？」と質問してきた学生がいました。一見、控えめな逆質問に見えるかもしれませんが、非常に本質を突いていたため強く印象に残っています。この学生は、当社の育成制度や評価制度を事前に調べたうえで、「自分がどのように成長できるか」を具体的にイメージしながら質問していたのです。逆質問の背景にしっかりとした準備があり、こちらが「話していて楽しい」と感じるレベルの対話になりました。単なる質問ではなく、自分のキャリアと企業を重ね合わせて考えられる学生は、ポテンシャルの高さが感じられます。

【Q&A】インターン面接でよくある質問

インターン面接では、準備を進める中でさまざまな疑問が浮かぶでしょう。よくある質問を事前に確認しておくことで、そういった不安を減らし、当日に落ち着いて対応することができます。

服装はスーツ？私服？

基本的にインターン面接ではスーツが無難ですが、企業から「私服でお越しください」と指定がある場合もあります。その際は、Tシャツやデニムなどのカジュアルすぎる服装は避け、オフィスカジュアルを意識すると安心です。指定がない場合は、スーツでの参加が最も誠実な印象を与えるでしょう。迷ったときは企業に直接問い合わせるか、メール案内や説明会資料をもう一度確認することが大切です。

緊張でうまく話せないときは？

面接で緊張してしまうのは自然なこと。大切なのは「緊張してはいけない」と思いすぎないことです。話し始める前に一呼吸置く、視線を面接官の眉間あたりに向けると、安心感が生まれやすくなりますし、事前に何度も練習しておくことで、自然と口が動くようになります。完璧な受け答えよりも、誠実に伝えようとする姿勢が評価されることを忘れないようにしましょう。

志望度が低くても参加していいの？

志望度が高くない企業でも、インターンに参加することには十分な価値があります。業界研究を深めたり、他社との違いを知ったりする機会になるからです。面接でその点を問われた際には、「◯◯業界に興味があり、視野を広げたいという想いから参加を希望しました」といった伝え方をすると好印象を保てます。正直な気持ちを伝えつつ、成長意欲が感じられる表現にすることがポイントです。

まとめ

インターンシップの面接は、就活本番に向けた貴重な経験となります。志望動機・自己PR・ガクチカなど、よく聞かれる質問には自分の言葉で答えられるよう準備を整えておきましょう。また、形式や評価基準を理解しておくことで、より自信を持って臨むことができるはずです。失敗しやすいポイントは事前に把握し、模擬面接や環境チェックも忘れずに行ってください。それらがきちんと準備されていれば、最後は自分らしさを伝える姿勢が、面接官の印象に残る最大の武器になります。