大学3年生に進級して、就活関連のセミナーや求人サイトを見ると、「サマーインターン」という言葉を耳にすることが多いです。ではサマーインターンとは、一体どういうものなのでしょうか。
今回は、「サマーインターンって何?」や「サマーインターンに参加する方法がわからない」という方の疑問に答えるために、サマーインターンの概要、選考対策、企業選び、参加後の活用方法まで徹底的に解説します。
そもそもサマーインターンとは?冬との違いも解説

そもそもサマーインターンとはどういうものでしょうか。ここでは、サマーインターンの基本的な意味や目的、冬インターンとの違いなどについて解説します。
サマーインターンの定義と目的
そもそもインターンとは、企業で実際に仕事をしている社員の方から直接話を聞いたり、直接仕事を体験してみたりして、企業、業界、社会への理解を深められる機会のことを主に言います。中でも7月〜9月の間に行われるものを「サマーインターン」と言うことが多いです。
目的は様々で、企業への理解を深めるキャリア教育を目的としたものから、選考の一部とする目的で開かれているものまであります。学生側の目的としては、インターンに参加することでその企業や業界について深く理解をしたり、参加後の選考で優遇を勝ち取るために参加したりするなど、様々です。また、大手・人気企業のサマーインターンはESや面接などの選考があるため、その後の本選考(採用のための選考)の練習として受けるという目的もあります。
サマーインターンとウィンターインターンの違い
前述の通りサマーインターンは7月〜9月にかけて行われるもので、夏休みを利用して参加するものです。選考は年明けの1月~6月上旬にかけて行う場合が多いです。
ウィンターインターンは、12月〜翌年2月にかけて行われるもので、学生は冬休みや春休みを利用して参加します。
サマーインターンは業界研究の側面が強く、長期のものが多い点が特徴ですが、ウィンターインターンは採用選考の一部としての側面が強く、より専門性の高い内容となっている場合が多いです。また、夏と比べて短期のものが多いことも特徴といえるでしょう。
大学何年生が参加するの?対象学年の傾向
サマーインターンは大学3年生から参加する場合がほとんどです。理由は1〜2年生で参加できるインターンは限られており、就活に対する意識も3年生ほど高くないからです。
大学1〜2年生でも参加できるインターンは、職場見学が主な内容の「オープン・カンパニー」や、企業や業界への理解を深める「キャリア教育」のような形のものが多く、参加の有無で選考には影響しないものが多いです。ただこの体験を3〜4年生の本選考の時に志望理由に落とし込むことで、志望度の高さや熱意をアピールする材料になります。
サマーインターンのスケジュールと流れ
ここでは、サマーインターンの応募・選考の時期や、実施される時期について解説します。
応募・選考開始の時期(3〜6月)
一部の外資系IT企業やコンサルティングファームを除いて、ほとんどの企業は3月〜6月に選考が行われます。選考内容は企業によって様々で、選考なしの先着順で参加できるものもあれば、エントリーシート(ES)によって選考するものもあります。よりハードなものだと、面接を複数回行ったり、事業の提案書を作成したり、グループディスカッション(集団討論)まで行ったりする、より本選考に近いものもあります。
エントリー(応募)の方法は企業によって異なりますが、一般的なものだと、マイページを作成してから応募します。まず企業の求人ページ経由で「マイページ」のアカウントを作成します。これは、企業の説明会やインターンの応募に必要なものとなります。
次にインターンの応募フォームを探します。インターンの応募フォームは氏名・住所などの個人情報や、志望理由を記載することになります。ESの提出期限はインターンに関する情報の公開日から、かなり余裕をもって設定されています。そのため、内容は念入りに検討しましょう。
ESの選考結果は提出から2週間ほどで通知されることが多いです。それから企業によってはインターンの参加日を予約したり、面接や適性検査など次の選考に進んだりします。
ここで紹介した応募方法は一般的なものですが、他にもマイページではなくて大学のキャリアセンター経由で応募するものもあれば、就活サイトの「スカウト機能」を通じて選考を免除されて応募するものもあります。
インターンのESの書き方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
また、面接についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
インターン実施時期と期間の目安(6〜9月)
インターンの実施時期は企業によって異なりますが、早いものだと6月に行われます。ほとんどの企業は8月〜9月の間に行われます。
インターンの実施期間も、企業や時期によって異なります。6月〜7月に行われるものは、学業との両立が必要なため、ほとんどが1日〜2日間で休日に行われます。8月〜9月の夏休み期間に行われるものは、1日〜5日間、長いものだと2週間ほど行われるものがあります。
就活本選考との関係性(早期選考ルートとの違い)
前述の通り、サマーインターンは企業研究や業務体験という性質を持つものが多いです。しかし、選考の一部として実施されているものもあります。これを「選考直結型」といい、インターンに参加した全員、またはインターンの中で特に優秀だった学生について、早期選考への案内があったり、選考で優遇されたりすることがあります。さらにごく一部の企業では、インターンの中で優秀な学生について内定を出す「内定直結型」のものも実施されています。
ただ、これらのインターンは非常に人気があり、選考の難易度が他の企業と比べて高いことが特徴です。企業によっては倍率が40倍〜100倍になる場合もあります。さらに年明けや春休み期間など、選考の時期が早いものも多いです。
サマーインターンの種類と選び方
インターンには様々な種類があり、実施される目的も多様です。ここでは、インターンにはどのような種類があり、それぞれどのような目的があるのか解説します。
短期・長期・ワンデーの違いと特徴
ワンデーとは、文字通り1日の内に行われるものを言います。短期インターンとは、2日〜1ヶ月間実施されるものをいいます。長期インターンとは、数ヶ月に渡って実施されるものを言います。
ワンデーインターンは、一般的に企業説明会の性質が強いものが多いです。中には軽いグループワークを取り入れているものもあります。しかし、中には早期選考に直結していたり、本選考における優遇措置を受けられたりするなど、他のインターンと同様に本気度の高いものもあります。
短期インターンは、企業研究よりは就業体験に重きを置いているものが多いです。グループワークがメインのものが多く、グループワークをしていく中で企業への理解を深められるようなものになっています。優秀な能力を発揮した学生は、その後の選考で優遇されることがあります。
長期インターンは、もっぱら就業体験に重きを置かれているものが多いです。社員の方や他のインターン生と協働して活動します。他のインターンとの違いは、その企業の事業に直接関わるかどうかです。
業界別に見るインターンの傾向と特徴
インターンの内容は企業や業界ごとに特徴があります。
コンサル・大手IT企業のインターンは「ジョブ」とも呼ばれ、非常に実践的で難易度が高いことが特徴です。クライアント企業の経営課題をテーマにしたグループワークが中心で、与えられた課題に対し、情報収集、現場分析、戦略立案、プレゼンまでをチームで行います。社員がメンターとしてついてフィードバックをもらえる機会が多いのも特徴です。
メーカー業界は、文系と理系で性質が大きく変わります。理系は主に現場見学や、実際の実験・研究に携わる、企業理解に重点を置いているものが多いです。文系は、新商品の企画立案やマーケティング戦略を考えるグループワークがあり、スキルの習得に重きを置いているものが多いです。
金融業界のインターンは、専門性が高く、責任の重さを体験できることが特徴です。銀行の融資や資産運用といった業務をテーマにしたケーススタディやグループワークが多いです。また、実際の金融商品を扱った業務の模擬体験もあります。
官公庁のインターンは業務体験に重きを置かれているものが多いです。職場見学や職員の方の事務を補助することが多く、その後の面接試験や官庁訪問で使う志望理由の材料となります。
目的別インターンの選び方(自己分析/業界研究/選考対策)
インターンを選ぶ際は、自分の目的に合わせて選ぶことがコツです。ここでは、①自己分析が目的の場合②業界研究が目的の場合③選考対策が目的の場合、それぞれの選び方を解説していきます。
自己分析が目的の場合
自分の強み・弱みや適性を把握したい場合は、グループワークやディスカッションが中心のインターンがおすすめです。
他の学生との協働や課題解決のプロセスを通じて、自分が得意な役割や苦手な場面が見えやすくなります。フィードバックをもらえるプログラムなら、より客観的な自己分析につなげられるでしょう。
業界研究が目的の場合
特定の業界や企業について深く知りたい場合は、社員による講義・座談会・現場見学が中心のインターンが適しています。
企業理念や事業内容、業界の最新動向を直接聞けるため、志望動機の材料や業界理解の土台を作れます。複数企業のインターンを比較すると、業界全体の特徴や企業ごとの違いも把握しやすくなるでしょう。
選考対策が目的の場合
本選考を意識してスキルや経験を積みたい場合は、実務型や選考直結型のインターンが有効です。
企画立案・プレゼン・ケーススタディなど、本選考で問われる課題に近い内容を体験でき、ESや面接で活かせる具体的な成果が得られます。特に優秀者に早期選考案内があるプログラムは、就活のスピードを一気に上げるチャンスになります。
選考通過のコツと落ちたときの対処法

前述の通り、サマーインターンにはESや面接などによる選考がある場合があります。ここでは、選考通過のコツと落ちた時の対処方について紹介します。
ES・面接・Webテストのよくあるポイントと対策法
ESでは、志望理由と学生時代に力を入れた活動(ガクチカ)は必ずと言って良いほど聞かれます。特にガクチカは他でも使いまわせるので、応募前に予めどのエピソードを使用するのか決めておきましょう。その経験において、「どのような成功があったのか」「成功に至るまでどのようなプロセスを経たのか」「その成功で得られたスキルは何か」を論理的に説明できるエピソードが望ましいです。
落ちても大丈夫!次に活かす行動とマインド
インターンに落選した際は、反省と切り替えが大事です。ここでは、次に活かす行動とマインドについて3つ紹介します。
ESの内容を振り返る
ESで落選した場合、他の人に読んでもらうことが効果的です。例えば大学のキャリアセンターの職員など、客観的な視点を持っている人にESを読んでもらいましょう。「論理的におかしい点はないか」「読みにくい表現はないか」など、自分では気づかない視点からの意見をもらうことで、より良いESに改善できます。
面接の内容を振り返る
面接の段階で落選した場合、自分の発言や振る舞いについて振り返ってみましょう。「自分の言いたいことがきちんと伝わっていたか」「質問の趣旨に沿った発言ができていたか」など、話の内容について振り返りましょう。また、「話の長さは適切だったか」「不適切な表現はなかったか」など振る舞いについても振り返ってみましょう。
企業への理解度を深める
選考に落ちた原因が、企業や業界への理解不足にあることも少なくありません。その場合、改めて企業研究を行うようにしましょう。企業のウェブサイトや採用ページを再度確認し、企業理念や事業内容、求める人物像を深く理解しましょう。また、同業他社を調べることで、業界全体の傾向や、落ちた企業の強み・弱みがより明確になります。
通過率を上げるには?事前準備と応募数の目安
選考において通過率を挙げるには、徹底的な自己分析、企業分析や業界研究などが必要となります。
まずは過去の経験、自身の強みと弱み、将来のビジョンについて分析しましょう。自分はどのような人間で、将来どのような働き方ができるのかアピールすることができるようになります。
次に徹底的な企業分析や業界研究をすることで、その企業に対する熱意や志望度をアピールすることにつながります。
これらの準備を済ませていよいよ企業へ応募する際は、10社〜20社が目安となります。志望度の高い企業から順にエントリーしていくことがおすすめです。
人気企業のサマーインターン事例と傾向分析
ここでは、人気企業のサマーインターンの実施傾向や特徴、参加の難易度について、実例を挙げながら分析します。
コンサル・外資系・総合商社などの傾向と特徴
前述の通り、コンサルティング業界のサマーインターンはジョブと呼ばれ、選考直結型であることが珍しくない点が大きな特徴です。選考難易度は非常に高く、最大手の企業は倍率が100倍を超えることも珍しくありません。選考フローはES、Webテスト(SPIではなく、GAB・玉手箱などの高難易度なもの)、グループディスカッション、ケース面接など、複数の選考があります。特に論理的思考力と地頭の良さが問われるため、ケース面接の対策は必須です。
外資系企業は、サマーインターンの中でも特に早く開催される傾向があり、事実上の採用選考と位置付けていることが多い点も特徴です。優秀な学生は早期選考に進み、そのまま内定を獲得するケースが珍しくありません。選考難易度は非常に高く、特に外資系投資銀行や戦略コンサルは最難関の部類です。コンサルティング業界と同様に、複数の選考を重ねる場合がほとんどです。英語力(TOEICの点数や留学経験など)と実力主義への理解が問われます。
総合商社は、企業理解を深めるための会社説明会としての側面と、選考としての側面を併せ持っています。必ず本選考で優遇されるわけではありませんが、参加者限定の座談会やOB・OG訪問の機会を得られるなど、本選考を有利に進めるための情報収集の場となります。選考難易度は非常に高く、倍率が100倍を超える企業も多いです。チームでの協調性や高いコミュニケーション能力、語学力が問われます。
選考が早い企業は?今から準備すべき業界リスト
前述の通り、サマーインターンの選考を年明けから始めるような企業も存在します。特に選考時期が早い企業として、外資系のIT企業やコンサルティングファームが挙げられ、日系の企業でもメガベンチャーや総合商社、広告代理店などは早くから選考を始める傾向にあります。
これらの企業は選考時期が早いだけでなく、応募者のレベルも総じて高いため、難易度が非常に高いです。そのため、早めに動き出して、他の優秀な応募者を出し抜けるように対策する必要があります。
学歴・スキルはどのくらい重要?求められる水準とは
一部の企業では学歴よりスキルや実績を重視する傾向もあります。特に外資系やベンチャー、IT業界では、学歴よりも「即戦力」となるスキルや実績を重視する傾向が高いでしょう。
人気業界で共通して求められるスキルとして、「論理的思考力」「コミュニケーション能力」「課題解決能力」「知的好奇心・成長意欲」があります。サークルやアルバイトなど、様々な経験を通して身につけましょう。
業界によっては専門的なスキルを要求される場合があります。例えばIT業界では、プログラミングのスキルが必要となることがあります。他にも外資系企業では、語学力が必須となります。留学経験やTOEICの点数をアピールするようにしましょう。他にも、Officeソフト(Word、Excel、PowerPoint)のスキルは、多くの業界で評価される傾向にあります。
知らないと損する!サマーインターンの活用術
サマーインターンの経験を活用することで、その後の選考が有利になる場合があります。
選考直結・優遇ルートは本当にある?
前述の通り、サマーインターンは選考や内定に直結している場合があります。特にメガベンチャーや外資系、コンサルティング企業ではこのタイプのインターンを実施している場合が少なくありません。
優遇のパターンは企業や業界によって異なりますが、インターン参加者限定の早期選考に招待されたり、本選考のESや適性検査、一次面接などが免除されたりするなど、他の就活生より選考を有利に進められるようになります。
このような選考直結型や優遇ルートのあるインターンは、選考の難易度が高く、複数日に渡って開催される場合が多いことも特徴です。
サマーインターンを就活本番にどう活かす?
サマーインターン経験は、本選考において、自己PRや志望動機へ反映することで活用できます。
まず自己PRに反映する際は、「インターンでどのような経験をしたのか」、「自分はどのような学びや結果を得たのか」、「この経験を入社した際にどのように活かせるのか」を話すようにしましょう。
例えば、「〇〇社での3日間のサマーインターンで、チームで新規事業立案に取り組みました。私は、顧客へのヒアリングを通して課題の本質を深掘りする役割を担いました。当初の提案は顧客ニーズとずれていましたが、私はヒアリングで得た『〇〇』という顧客の潜在的なニーズに着目。チームに共有し、提案の方向性を再定義することで、最終プレゼンで社員の方々から高い評価をいただきました。この経験で培った課題の本質を見抜く力は、貴社で営業職としてお客様の課題解決に貢献する上で、必ず活かせると確信しています。」というように話すことができます。
志望動機では、インターンでの経験が、なぜその企業を志望するに至ったのかの決定的な理由であることを示すようにしましょう。
例えば、「以前から貴社の『〇〇』という企業理念に共感していました。人々の生活を豊かにする製品開発に携わりたいと考えています。貴社のサマーインターンに参加し、社員の方々と共に実際に製品開発のプロセスを体験しました。その際、チームの一員として〇〇に挑戦する機会をいただき、社員の方々がユーザーの声をどれほど大切にしているかを肌で感じることができました。この経験を通じて、貴社の製品が多くの人々に愛される理由を深く理解し、貴社で働くことへの強い魅力を感じました。インターンで培った学びを活かし、今度は社員の一員として、貴社の製品開発に貢献したいと強く思うようになりました。」というように話すことができます。
インターン参加後にやるべきこと(振り返り・OB訪問など)
ここでは、インターンがより効果的な経験になるために、参加後にやるべきことを3つ紹介します。
インターンでの経験・学びの整理と振り返り
インターン中に書いた日報やメモを見返し、以下の4点について振り返るようにしましょう。
✅具体的な成果
どのようなタスクをこなし、どのような成果を出せたか
✅得られたスキル
プログラミング、資料作成、コミュニケーションなど、身についたスキルや能力は何か
✅直面した課題
どのような壁にぶつかり、どのように乗り越えたか
✅企業・業界理解
企業の雰囲気。仕事内容、業界の動向について、どのような新しい発見があったか
この振り返りを通じて、自分の強みや課題がより明確になり、自己PRや志望動機の質を高めることができます。
OB・OG訪問の実施
インターンで関わった社員や、その企業で働いているOB・OGに積極的に連絡を取り、訪問を依頼してみましょう。インターンでは聞けなかった質問や、キャリアプランの相談、フィードバックの依頼をすることがおすすめです。
業界・企業研究の深掘り
インターンでの経験をきっかけに、その企業だけでなく、競合他社や関連業界についても深く調べてみましょう。競合他社と比較することで、インターンに参加した企業の強みや独自性をより深く理解することができ、本選考での志望動機に説得力を持たせることができます。また、ニュースをチェックすることで、本選考の面接で話す内容に厚みを持たせることができます。
まとめ
今回は、サマーインターンについて解説しました。サマーインターンは早期選考への案内や選考での優遇を勝ち取るための重要な機会です。そうでなくとも、企業や業界への理解を深めたり、グループワークを通じて自分のスキルや適性を見つけたりするための貴重な機会となります。選考の対策などで大変ではありますが、必ず無駄にはならない経験となります。
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